「がんから始まる生き方」養老孟司、柏木博、中川恵一著
患者、医療者それぞれの立場から書かれた、がん指南書。
2017年、柏木氏は血液のがんである「多発性骨髄腫」で余命4~5年と告知される。担当医の対応に納得できず、友人の養老氏に相談。紹介された東大病院のがん専門医・中川氏にセカンドオピニオンを求め、同院で治療を受けることに。前の病院ではできないと言われた造血幹細胞移植によって寛解に至るまでの治療経過と医療チームとのやりとり、そしてその間に揺れ動いた心の変化を詳述。
一方の中川氏は、現在のがん治療や検査の実際、医師のあるべき姿などを解説。さらに本書を執筆中に判明した自らの膀胱(ぼうこう)がんについて患者としての体験も率直に告白。養老氏を交えた鼎談(ていだん)も加え、病気との向き合い方、がん患者としての生き方を提示する。
(NHK出版 900円+税)