「熟年期障害」平澤精一著
近年、新たな国民病として注目される「熟年期障害」。これは、従来ただの老化だと思われてきた高齢者の心身に起こる諸症状の中でも、特定のホルモンやミネラル不足によって引き起こされる症状を指す。
例えば、「やる気が湧かない」「判断力が低下した」「物忘れがひどくなった」「疲れが取れない」「肌荒れや脱毛が目立つ」「よく眠れない」「性欲がない」などの症状に覚えはないだろうか。このような、病気とは言えないまでの心身の不調は、テストステロンという男性ホルモンと、亜鉛の不足によって生じている可能性が極めて高い。そして熟年期障害が恐ろしいのは、“年のせい”と放っておくと、やがて認知症や老人性うつ、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患につながりかねない点なのだ。
テストステロン不足は女性にも無関係ではない。女性の体内でもテストステロンはつくられていて、閉経を迎えて女性ホルモンであるエストロゲンが減少すると、テストステロンの影響を強く受けるようになる。
テストステロンは、血管や骨を丈夫に保ったり、意欲や行動力を高めるなど、心身の健康維持にも深く関与している。つまり男女ともに、熟年期になるほどテストステロンの減少がさまざまな不調につながりやすくなるわけだ。
さらに、亜鉛はDNAの複製に関わり、新陳代謝を促して細胞を生まれ変わらせる働きを持つほか、テストステロンの生成にも関与する。本書では、食生活改善をはじめ、42度以上の熱めのお湯に漬かる、朝日を浴びる、スポーツやゲームなどで勝負をするなど、熟年期障害のリスクを下げる工夫を伝授。心身のサインを見逃さず、早めの対策で生き生きとした熟年期を過ごそう。
(アスコム 1500円+税)