「健康をマネジメントする」横山啓太郎著
医療の進歩により、日本は“死ねない時代”に突入している。そして長生きする分、認知症や寝たきりのリスクが大きくなり、健康なまま死に至るのは20人に1人ともいわれている。
人生100年時代には健康こそが重要な資産となると説く本書では、生活習慣を変えることで生活習慣病の治療を行う「行動変容外来」を開設する著者が、マインドと習慣を変えながら自分自身で健康をマネジメントする方法を解説している。
まず行いたいのが、自分を知り、どうありたいかを明確にすること。そのためには、体に関する個別データを集めて記録することが大切だ。血圧や心拍数、歩く速度や睡眠時間を、スマホなどにまとめておく習慣をつけよう。
食事制限や運動がなかなか続かないという人も多いだろう。これは、全方位で頑張り過ぎていることが原因かもしれないと著者は言う。私たちは何もモデルやオリンピック選手を目指しているわけではなく、人生100年を楽しく生きるための健康状態を維持できればいいはずだ。有酸素運動を毎日1時間以上、減塩して野菜中心の食事を取りたばこもお酒も禁止、などやみくもにすべてを実践する必要はないことをまず理解しよう。
自分に合った生活習慣を考える手だてとして、本書では「10年後老化度チェック」を紹介している。背中の後ろで手を合わせられない、眠りが浅くなっている、おしゃれでなくなった、5年以内に新しい趣味やゲームを始めていないなど、身体機能や代謝、社会性や知的スコアなどを調べる項目があり、自分の弱っている分野が見える化されるため、対策も練りやすくなる。
健康長寿を実現するには、食事も運動も戦略的に行うことが大切なのだ。
(CCCメディアハウス 1500円+税)