「銀河帝国は必要か?」稲葉振一郎著
応用倫理学の視点から人類とロボットの未来を考察したテキスト。
あらゆるものがネットワークに常時接続する現代、ロボットはネットワークの端末というもうひとつの顔を持ち始めている。現代のロボット・人工知能技術の展開は、人造人間か超高度な道具かという従来のイメージを裏切り、そのどちらでもないものを生み出し、社会を変えつつある。また人間により近い人造人間には、何のためにつくるのかという根源的疑問がつきまとう。人間としてつくるなら、仲間としての権利を保障し、その福祉に配慮するという新たなコストが生じるからだ。
一方で、人造人間の可能性を考えることは宇宙進出につながっていく。SF作品などを手掛かりに、ロボットとの共生について考える。
(筑摩書房 860円+税)