「振仮名の歴史」今野真二著
普段、何げなく読んでいる振(ふり)仮名の知られざる面白さを伝えるテキスト。
まずは「合図」に「サイン」、「匂艶」に「にじいろ」と振仮名を添えるサザンオールスターズの歌詞をはじめ、現代小説やコミックスなどを取り上げ、さまざまな役目を担う現代の振仮名の活躍ぶりを紹介。漢字・平仮名・片仮名・アルファベットといった複数の文字を使って日本語を書くことが振仮名と深く関わっているという。その上で、日本書紀につけられた振仮名を例に、「中国語を日本語として読む」ことが振仮名発生の契機であったことを紹介。
以後、明治時代までのさまざまな文章を読み解き、その歴史を俯瞰(ふかん)しながら、当初は「読み」として発生した振仮名が次第に「表現」として使われるようになった過程を追う。
(岩波書店 1040円+税)