「罪人の選択」貴志祐介著

公開日: 更新日:

 1946年、磯部武雄は防空壕の中で、見届け人、浅井正太郎の前で、佐久間茂に猟銃を向けられ、ある選択を迫られていた。佐久間が出征中に、磯部が佐久間の妻、淑子を汚したことを責め、焼酎と缶詰のどちらかを選べと言う。どちらかが毒入りなのだ。

 1964年、浅井の私生児である黒田正雪は、同じ防空壕の中、磯部の娘で、佐久間に育てられた満子に猟銃を向けられていた。満子の妹、史子は黒田に弄ばれて捨てられ、首を吊ったのだ。満子は黒田に、焼酎か缶詰を選べと言う。防空壕の奧には、満子の父、磯部の白骨死体があった。磯部はそのとき、どちらを選択したのか。黒田は必死で生き残る道を探るが……。

 SFなど4編の短編集。

(文藝春秋 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…