「罪人の選択」貴志祐介著

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 1946年、磯部武雄は防空壕の中で、見届け人、浅井正太郎の前で、佐久間茂に猟銃を向けられ、ある選択を迫られていた。佐久間が出征中に、磯部が佐久間の妻、淑子を汚したことを責め、焼酎と缶詰のどちらかを選べと言う。どちらかが毒入りなのだ。

 1964年、浅井の私生児である黒田正雪は、同じ防空壕の中、磯部の娘で、佐久間に育てられた満子に猟銃を向けられていた。満子の妹、史子は黒田に弄ばれて捨てられ、首を吊ったのだ。満子は黒田に、焼酎か缶詰を選べと言う。防空壕の奧には、満子の父、磯部の白骨死体があった。磯部はそのとき、どちらを選択したのか。黒田は必死で生き残る道を探るが……。

 SFなど4編の短編集。

(文藝春秋 1600円+税)

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