「死の花の咲く家」仁木悦子著
日曜の朝、朝食を買いに出かけた大学生の悦子は、近道のために通り抜けようとした神社の境内で顔なじみの学者・館岡の遺体を見つける。探偵気取りで持ち物を調べると、予定が書き込まれた手帳の前日の欄に「紫式部」と書かれていた。悦子の知らせで館岡家は大騒ぎに。
妻を亡くした館岡は、姪と家政婦、そして最近になって名乗りを上げてきたため認知した婚外子の吉男と暮らしていた。やがて警察の調べで館岡は病死と判明。家政婦から館岡がいつもは控えていた酒を昨夜はかなり飲んでいたようだと聞いた悦子は、館岡の前夜の行動を調べ始める。しかし、手掛かりの紫式部が何のことだか分からない。(「暗い日曜日」)
「日本のクリスティ」と称された著者(86年没)の傑作集。
(光文社 900円+税)