「考えるナメクジ」松尾亮太著
ナメクジは呼吸孔と肛門が共用で、呼吸とウンチを同じ穴から出すが、ちゃんと脳を持っている。脳は頭部の触角の下にあり、その中心を食道が通過しているので、口から入った食べものが脳の中心を通過することになる。
だが、ハエなどが記憶を形成するのに複数回学習することが必要なのに比べ、ナメクジは1回の学習だけで非常に長期の記憶を形成する、すごい「脳力」を持っている。
例えば、「まずかったもののにおい」を最長で2カ月くらい記憶している。においの情報は触角から前脳葉に伝えられるが、ナメクジはおいしい食べ物に出合ったら、次からはそのにおいのする場所により速く近づくという学習能力を持つ。
着任した研究室がナメクジの脳研究をしていたことからナメクジの脳のとりこになった研究者が書いたナメクジの本。
(さくら舎 1500円+税)