「童の神」今村翔吾著
安和2(969)年、安倍晴明は左大臣源高明の従者藤原千晴から群盗・滝夜叉との仲介を頼まれる。晴明と平将門の娘である滝夜叉の女頭目・皐月は、密かに通じ、子までなした仲だった。
千晴によると、高明は土蜘蛛や鬼、夷などの童と呼ばれる化外の民を臣下に迎え天下和同を目指すという。勇将・源満仲も同心しており、滝夜叉に大和葛城山の土蜘蛛と丹波大江山の鬼にもこの義挙に参陣するよう説得してほしいというのだ。
決起の日、皐月の呼びかけで各勢力が参集するが、満仲の裏切りによって計画は頓挫。6年後、天変が起きた日に越後の豪族の家に男の子が生まれ、桜暁丸と名付けられる。
角川春樹小説賞受賞、そして直木賞候補にもなった長編時代エンターテインメント。
(角川春樹事務所 800円+税)