「地図でスッと頭に入るアメリカ50州」デイビッド・セイン監修
トランプの再選か、バイデンの政権奪還か。
世界が注視する中、アメリカ大統領選挙の結果がようやく出た。
この4年、世界を振り回してきたトランプだが、スキャンダルが次々と発覚しても、なぜか一定の支持率を保っている。そんなところに、日本人には理解できない、知っているようで知らないアメリカの側面を感じた人も多いのではなかろうか。
アメリカのそうした多面性、複雑さは、50ある州ごとに、それぞれルーツが異なる住人たちが、自ら憲法やルール、行政を決めていることも一因だ。本書は、各州それぞれの特徴を平易に解説してくれるビジュアル本。
まずは最初の入植地で400年以上の歴史があるニューイングランド、中部大西洋沿岸がある北東部の州を紹介。
誰もが知るニューヨークシティーは、ニューヨーク州のほんの一角で、州自体は東京都の約65倍という広大な広さ。ハドソン川を北上すると、全米で生産量が三本の指に入るというキャベツ畑が広がり、ムース(ヘラジカ)に出合えたりするという。
意外なことに人口も経済規模も、カリフォルニアやテキサスに抜かれ3位に甘んじているらしい。
他にも、建国の気風を表す「自由か死か」をモットーに掲げ、消費税や個人所得税が課せられないニューハンプシャー州、バイデン氏の出身地で合衆国憲法を最初に批准した南部のデラウェア州、北欧の移民が多く今も北欧文化が息づく中西部のミネソタ州、女性参政権を先駆けて承認した西部のワイオミング州など。
各州の歴史や個性、出身有名人や特産品、さらに人口や平均年収などのデータを添え簡潔に解説。大統領選で民主党と共和党のどちらが優勢かの動向を示す事前情報も添えられ、選挙結果を読み解くためにも役立つだろう。
(昭文社 1500円+税)