「アニーはどこにいった」C・J・チューダー著 中谷友紀子訳
アーン・ヒルの町の学校にジョー・ソーンが赴任してきた。前任者のジュリアは息子を惨殺した上、「息子じゃない」という血文字を残して自殺したという。この町に育ったジョーにとっては、ここは忌まわしい記憶が残る土地でもある。そこへわざわざ戻ってきたのは、「妹に何があったか知っている。同じことが起きようとしている」という差出人不明のメールが届いたからだ。
ジョーの妹アニーは8歳の時、行方不明になった。戻ってきた時には別人のようになっており、その後、死亡した。実は25年前、ジョーが友人たちと炭鉱跡の洞窟探検に出掛けたことがすべての始まりだった。
前著「白墨人形」で内外のミステリーファンをうならせ、あのスティーブン・キングが推す著者の第2作。
ジョーが戻ってきたことを疎ましく思う昔の仲間たち、ジョーを追いかけてきた借金取りの女など怪しげな人物が登場し、現在と並行して、ジョーの封印した過去が徐々に明かされていく。洞窟で見たものは何だったのか、アニーに起こったこととは一体――。
恐怖とミステリー的な仕掛けで、ラストまで一気読み。
(文藝春秋 2250円+税)