「クスリの効かない 新型頭痛の治し方」陣内敬文著
頭痛には、病気の原因が見つからないのに繰り返し起こる1次性頭痛と、脳の病気が原因で起こる2次性頭痛がある。そして頭痛の大半は1次性頭痛であり、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛が3大頭痛として知られている。
ところが近年、あまり知られていない頭痛の患者が増えてきていると、これまで7万人の患者を診てきた頭痛専門医の著者は言う。いずれも症状が複雑であり、頭痛に詳しい医師でなければ診断することが難しいものもある。著者はこれを新型頭痛と呼び、その症状や有効な治療法について詳しく紹介している。
例えば、頭痛とともにめまいや過呼吸、うつ症状などが見られるのは「頚性神経筋症候群」の可能性が高い。これは血行不良から第2頚椎部分の周囲の組織が変性することが要因といわれる。心療内科を受診する患者も多く、慢性疲労症候群やうつ病、パニック障害、更年期障害などと診断された人の中には、頚性神経筋症候群を持っている人が非常に多いそうだ。この場合、首の筋肉の緊張と痛みを和らげるリハビリや鍼治療などが頭痛解消に有効だという。
左右片側の後頭部に痛みが出現し、頭痛薬を飲んでも改善されない場合は解離性椎骨動脈瘤が疑われる。動脈瘤は心臓や脳などさまざまな部位にできるが、高齢者に多いもの。ところが解離性椎骨動脈瘤は若い世代にも多く、パソコンなどで長時間首を曲げる姿勢を取っている人に起こりやすい。放置していると、くも膜下出血につながる恐れもあるため、注意が必要だ。
天気痛やマスク頭痛など、各種の新型頭痛の他、3大頭痛の最新治療も紹介する本書。早期に正しい治療を受けるためにも知っておきたい情報が満載だ。
(現代書林 1300円+税)