「腸がすべて」フランク・ラポルト=アダムスキー著 森敦子訳、澤田幸男監修
腸に良い乳酸菌や食物繊維を取って腸内環境を整えておくことは、免疫の強化に非常に重要。このことは広く知られるようになったが、本書が着目するのは“食品ごとの消化スピード”。その食べ合わせによって理想的な腸の流れを維持し、免疫力をさらに高めようという試みだ。
著者は、人間の自然治癒力を最大限に生かそうとする医学「オステオパシー」の第一人者であり、さまざまな研究を通じて生み出された「アダムスキー式腸活法」は欧州で30年近く実践されているという。食品には、消化の速いファストと、消化の遅いスローという2つのカテゴリーがあり、アダムスキー式腸活法の肝はファストとスローを一緒に食べないこと。組み合わせてしまうと、消化に必要以上の時間がかかり、消化管の自浄の時間が取れなくなるためだ。結果、有害な汚れがこびりついて免疫力の低下をはじめ肥満や血行不良、不眠や肌荒れなど全身の不調につながると著者は警告している。
ファストの代表は果物全般、そしてトマトやカボチャ、パプリカ、唐辛子などが挙げられる。スローの代表はパスタやパン、米、ジャガイモ、肉、魚、卵などだ。つまり、トマトソースを使ったパスタやピザなどは、アダムスキー式腸活法では絶対に避けるべき食べ合わせの代表格だ。
ただし、ファストとスロー以外に、わずかではあるがどちらにも属さないニュートラルという食品がある。これは油、ニンニク、タマネギ、ハーブなどで、一緒に食べた食品の消化スピードを速めてくれるため、腸の流れを良くして腸内環境を良好に導くという。巻末には腸に良いレシピも掲載。食品の食べ合わせで腸活にチャレンジしてみてはいかが。
(東洋経済新報社 1500円+税)