「日本の医療の不都合な真実」森田洋之著
コロナ禍を通して見えてきた日本の医療が抱える「本質的な問題」について解説する警世の書。
日本を含む東アジア諸国の死亡率が欧米の100分の1しかないという事実に注目。一方で、日本は人口あたり世界一の病床数を誇るのに、コロナ対策として使用できたのは2%にも満たなかった(2020年7月10日時点)。そうした事実から一般病棟として稼働している病床を、即座に緊急事態に対応できる病室にするシステムをつくっておく重要性を説く。
また日本の15倍もの死者が出たが医療体制に余裕があったドイツを例に、最強の戦力を保持しながらそれらを適正に配置する指揮命令系統を失った状態の日本の医療の現実を指摘するなど。
日本人の医療への誤解を解きながら、問題点を洗い出す。
(幻冬舎 840円+税)