「中国が宇宙を支配する日」青木節子著
米中対決は、宇宙にその舞台を移しつつある。5年前、中国が世界で初めて量子科学衛星「墨子」の打ち上げに成功。量子科学衛星は、量子暗号通信技術を搭載した人工衛星で、中国は国家の安全保障上、世界で頭ひとつ抜きんでたことになる。
さらに中国は、「墨子」と量子暗号をやりとりする地上局を、世界各国に設置しようともくろんでいる。
一方、大戦以降、ソ連と熾烈(しれつ)な競争と協力を繰り広げてきたアメリカは、世界のリーダーとして宇宙がもたらす富と安全を世界に配分する制度づくりに腐心するとともに、宇宙支配を決して譲り渡さないよう立ち回ってきた。
本書は、中国、アメリカ、日本を中心に宇宙開発の歴史を振り返りながら、宇宙における安全保障の最前線を伝える。
(新潮社 836円)