「『スパコン富岳』後の日本」小林雅一著
日本の科学技術力の弱体化が指摘されて久しい。そんな中、日本のスーパーコンピューター「富岳」が2期連続世界王座に就いた。日本が科学技術立国に復活する手掛かりとなるのが、スパコンの中核をなす「半導体」、そしてその半導体の活用対象として期待が集まる「AI(人工知能)」だという。世界の巨大IT企業も改めて半導体技術に注力。AIを使った製品やソフトウエア開発競争が飽和し、今後はむしろ半導体のようなハードウエア技術がこの分野の競争力の源泉になるとみられているからだ。
本書は、「富岳」に搭載された超高速プロセッサー「A64FX」の可能性から、次世代超高速マシン「量子コンピューター」の現状まで、日本の科学技術の今と未来を解説するサイエンス本。
(中央公論新社 924円)