「不寛容論」森本あんり著
ボルテールは「わたしはあなたの意見に反対だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」と言った。日本人は宗教的には極めて不寛容で、中国、インド、アメリカ、ブラジル、パキスタンを指標とした調査では「他宗教の信者を信頼する」人の割合は中国に次いで最下位のひとつ上、「他宗教の信者も道徳的」と考える人の割合は最下位だった。「他宗教の信者と隣人になりたくない」人は6カ国で最多だった。
一方、17世紀に「寛容論」を唱えたロジャー・ウィリアムズは、史上初の政教分離社会を建設し、イスラムなどあらゆる宗教への寛容を論じた。
コロナ禍で「自粛警察」などが跋扈(ばっこ)する今、読むべき一冊。
(新潮社 1600円+税)