「民間信仰」桜井徳太郎著

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 柳田國男門下の宗教民俗学者による日本の民間信仰研究の復刻。

 日本では仏教伝来後も村落生活の底辺に原始信仰が堆積。中でも顕著なのは、自然そのものを崇拝の対象とする自然信仰と、雨風雷などの天然現象を引き起こす根源的霊力の存在を認め、それを畏敬崇拝する精霊信仰の2つだという。一方で、人間の能力で調整できる限度を超えた領域について神の力を頼ろうと、こうした原始信仰は守護霊崇拝へとつながっていった。愛媛県宇和地方のタタリガミ(祟り神)や妖怪ノツゴ、大分県国東半島のコイチロウ信仰など、1960年代の日本各地をフィールドワーク。

 人々の暮らしの中に生きる怪異や俗信、そして民俗信仰をすくいあげ、他地域の類例と比較し、その発生過程を歴史的に解説する。

(筑摩書房 1400円+税)

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