「『うつ』の効用」泉谷閑示著
ある調査によると、12歳以上の現代人の8人に1人、12%もの人が「うつ病」か「うつ状態」にあるという。
その治療は、抗うつ剤による薬物療法が中心だが、精神科医の著者は、薬物療法は骨折時のギプスのような添え木的役割であり、病根そのものにアプローチをして治してくれるわけではないという。真の治癒に必要なのは、その人にそもそも「うつ」が生じたのはなぜだったのか探索し、自然治癒力を妨げているのが何かを明らかにする綿密で丁寧なアプローチだという。
精神療法と呼ばれるそのアプローチで多くの患者の診療を行ってきた著者が、これまでとは異なる視点で「うつ」のカラクリを解説しながら、「うつ」を引き起こしてしまう真の原因を明らかにするメディカルテキスト。
(幻冬舎 990円)