「遺伝子のスイッチ」生田哲著
一卵性双生児は先天的な環境は同じでも後天的な環境は異なる。食事や運動などの生活習慣や、読む本、付き合う人によって遺伝子の働きは劇的に変わる。
最近の研究により、遺伝子を「オン」にしたり「オフ」にしたりするスイッチが存在することが明らかになった。これを研究するのが「エピジェネティクス」という学問分野である。このスイッチは環境の変化に応じて変異を起こすことなく、遺伝子の使い方を変える点がユニークである。DNAにタグを付けたり外したりすることでオンとオフを迅速に切り替えるのだ。
ヒトが環境に適応しなければならないとき、DNAの変化には数千年かかるので、変異より迅速に対応できるタグ活用が発明されたと思われる。
「うつ」や薬物依存と遺伝の関係などを、最先端の遺伝学で解き明かす。
(東洋経済新報社 1980円)