「コロナの世界を照らす50のやさしい物語」片野優、須貝典子著
日本よりも外出制限などが厳しかったセルビアで暮らす著者は、不自由な日々を、コロナ禍を笑い飛ばすような世界各地の人々のSNSへの投稿に心を癒やされてきた。希望が持てない状況の中でも、人々は勇気や情熱、行動力で生き抜いていた。
そんなコロナ禍の孤独な生活の中、ニュースや動画、SNSで見つけ、生きる希望となったエピソードを集めた一冊。
ロックダウンの最中、オペラ鑑賞に出かけるかのようにドレスアップしてゴミ出しをするシドニーの女性が写真をSNSにアップしたところ世界中に輪が広がったという。
そんな話から、通りを挟んだアパートの屋上とベランダで出会い芽生えた恋(ニューヨーク)、参加を予定していたマラソン大会が中止になったのでわずか7メートルのベランダを往復してフルマラソンの距離を走破した男性(フランス)、観光客が消えゴーストタウン化したプラハでコロナウイルスを模したケーキ「ブラック・マドンナ」を売り出し1日100個を売り上げるヒット商品にしたカフェなど。世界25カ国から50のエピソードを収録。
(宝島社 1320円)