「NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実」NHKスペシャル取材班著
親が支える「8050問題」。高齢化が進み、生活を支えていた親が亡くなり、残された「子」が衰弱死するケースが相次いでいるという。なぜ彼らは支援を拒み、命を落とすまで引きこもり続けるのか。支援担当者に密着し、当事者たちの抱える苦悩に迫ったドキュメンタリー番組の書籍化。
56歳の伸一さんは、10年前に両親が亡くなってから一人暮らし。市役所の担当者は、栄養失調状態の体調を心配して、何度も通い診療を勧めるが拒否。見守ることしかできず、行政がその存在を把握してから1カ月半後には遺体で見つかる。
他にも52歳で引きこもりになった60歳の伊藤さん、引きこもりの末にがんを患った息子を自宅でみとった母親など。当事者たちの生の声に耳を傾けた渾身(こんしん)作。
(宝島社 968円)