「社会のしんがり」駒村康平編著
秋田県藤里町は人口3500人、高齢化率43%だ。社会福祉協議会の職員募集に、中学で不登校になり職歴もないAさんが応募してきたが、紹介できる仕事はなかった。社協会長の菊池まゆみは高齢者の居場所づくりには熱心でも、若者の居場所づくりという発想がなかったことに気づく。都会に出た若者が帰って来ても、藤里には仕事がない。面接などで落ちると落ち込んで、仕切り直しができなくなるのだ。
そこでひきこもりなどの支援に取り組むことになった。福祉施設「こみっと」を開設、「地域デビューができる場所」にしたいと、そば打ちなどのイベントに誘ったら……。
既存の制度が対応できない社会や地域を支える人々の記録。
(新泉社 2800円+税)