「地名と歴史から探る江戸」古川愛哲著
古い地名を手掛かりに江戸の人々の暮らしの実相に迫る歴史エッセー。
鬼平犯科帳の鬼平こと長谷川平蔵が人足寄場をつくった隅田川河口の三角州「石川島」。古くは「森島」と呼ばれ、その後は島の一部を拝領して屋敷を建てた旗本の名にちなみ「八左衛門殿島」の名がつけられた。人足寄場になる前は、納涼地として人気で、妓楼や料亭が立ち並び、さらに大火で焼失した新吉原が再建までの期間、島内で営業したため、人足寄場よりも売春島としての歴史が長いという。
他にも、現在の新橋駅・烏森口の由来である神社の存在や、亀戸や戸越、花川戸などにつく「戸」は何を意味するのか、青山や赤坂、白金などの現在の高級住宅地の江戸時代の実態まで。
東京散歩がより面白くなるエピソードが満載。
(エムディエヌコーポレーション 1100円)