「悲しみのイレーヌ」 ピエール・ルメートル著 橘明美訳
2014年、日本国内の4つの年間ミステリーランキングの海外部門の第1位に輝くほか、英仏2つの賞を獲得して「史上初の6冠達成!」と話題を呼んだ「その女アレックス」は、カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの第2作で、その翌年邦訳されたシリーズ第1作が本書だ。
【あらすじ】パリ警視庁犯罪捜査部のカミーユ・ヴェルーヴェン警部は、145センチの短躯。画家である母親の喫煙が胎児に栄養不良を招いての結果だ。それ故結婚など無縁と思っていたが、40歳で出会ったイレーヌの登場で人生は一変。カミーユはル・グエン警視を長とする捜査班の班長。配下には、ハンサムで金持ちのおぼっちゃんのルイ、ケチだが粘り強い捜査が信条のベテラン刑事アルマン、浪費家で女好きのマレヴァルがいる。
この個性的なチームのもとにパリ北西部の郊外で女性2人が異様な手口で惨殺されたという報告が入ってきた。ベテランの鑑識員ですら経験のない死体の損壊ぶりに一同は唖然とさせられる。しかも壁には《わたしは戻った》という謎の言葉が血で書き付けられていた。調べを進めていく中で、カミーユたちは以前起きた未解決の若い女性の切断事件との関連があるのではないかと推察する。