「恋大蛇(こいおろち) 羽州ぼろ鳶組 幕間」今村翔吾著
八丈島に島流しにされた留吉は、いつ来るか分からぬ再会の日まで、できる限り人に関わらず生きていくつもりだ。留吉は変名で、元武士の本名と素性を知るのは村名主の与兵衛だけ。海辺の廃屋をあてがわれ、暮らし始めた留吉だが食料の調達もままならない。やがて、島に残り漁師となった元流人の角五郎に弟子入り、何とか糊口をしのげるようになった。
そんなある日、島で火事が起き、元火消の流人の発案で流人による火消組が結成されることになった。しかし、留吉と火消を毛嫌いする角五郎は参加しない。数カ月後、火山の噴火で発生した山火事が村に迫る。留吉は自らの素性を角五郎に明かし、火元に向かう。
人気時代シリーズの外伝的作品集。
(祥伝社 759円)