「駆ける2」稲田幸久著
吉川元春は尼子軍に落とされた鳥取城を奪還するため、因幡に向かった。吉川軍の騎馬遊撃隊を率いるのは近松小六。吉川軍は鶴翼の陣を敷いて尼子軍を袋のねずみにする作戦を取ったが尼子軍から小さな集団が抜け出して吉川軍の左翼に突進した。先頭を駆けるのは金色の馬に乗った山中鹿之助幸盛。香川春継は「大将が先頭を駆けるか」と、幸盛の覚悟に驚く。さらに尼子軍の鉄砲隊が一斉射撃を始めた。元春はここまでだとつぶやくが、そのとき、地響きを立てて小六率いる遊撃隊が現れた。遊撃隊は尼子騎馬隊を蹴散らし、退却する尼子軍を追撃する。小六の遊撃隊は今や吉川軍最強の部隊だった。戦いが終わったあと、香川春継はおかしいと思った。幸盛はわざと負けたのではないか。
毛利対尼子の熾烈な戦いを描く時代小説。
(角川春樹事務所 1980円)