「星巡る」五十嵐佳子著

公開日: 更新日:

 結実が14歳で産婆の見習いとなって8年目を迎えた。ここ八丁堀界隈には、祖母で師匠の真砂が2代、3代と取り上げた家も多く、周囲の女性たちの信頼も厚い。同じ見習いのすずが所帯を持ち、身重となったので、結実はこれまで以上に忙しい。

 父の正徹が営む診療所で修業中の見習い医師・源太郎にひそかに思いを寄せる結実だが、亡き母や義母の正徹を支える姿を見ると、昼夜なくお産に飛び回る自分が、医師を志す源太郎にふさわしい女とは思えない。おまけに源太郎目当てに薬種問屋の娘・紗江が診療所に出入りするようになり、結実の心は落ち着かない。

 そんなある日、結実は酒問屋に嫁いだ幼馴染みの赤ん坊を取り上げる。

 幕末の江戸で懸命に生きる産婆見習いの結実の成長を描く時代長編。

(朝日新聞出版 858円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭