「『日本列島改造論』と鉄道」小牟田哲彦著
今から50年前の昭和47年、通商産業大臣だった田中角栄が「日本列島改造論」を発表。直後の自民党総裁選に勝利し、総理大臣に就任する。本書は、同書に記された鉄道政策を検証するテキストだ。
日本列島改造論では、新幹線ネットワークの拡充と地方ローカル線の再評価を強調。同書刊行の10年以上前、鉄道路線の選定の妥当性を審議する委員会の小委員長に就いた田中は、「地方の経済発展のためなら鉄道は赤字を出しても良い」と、地方の新規路線建設を推進するための政策を具体化していく。国鉄の財政再建のため予定されていた赤字ローカル路線の廃止もストップした。
日本の鉄道史を振り返りながら、日本列島改造論が今なお日本の鉄道政策に及ぼし続けている影響について明らかにする。
(交通新聞社 990円)