「日照雨」志川節子著
味噌問屋に嫁いで2人の子の母となったおえんだが、不貞の疑いをかけられ離縁され、今は長屋で一人住まい。針仕事の合間に人々の「縁結び」の手伝いをしている。
ある日、針の師匠の見舞いに行き、弟子仲間のお俊と再会する。夫を病で亡くしたお俊は、女手ひとつで息子を育てているという。お俊に再婚の意思があることを聞いたおえんにある男の顔が浮かぶ。絵師の花蔵の家で見かけた戯作者の戸倉だ。戸倉は二枚目なのだが、無口で浮いた噂もない。花蔵にわたりをつけてもらい、戸倉とお俊を引き合わせるが、戸倉は聞きしに勝る無口ぶりで、お見合いはお通夜のようになってしまう。
翌日、当の戸倉がおえんの長屋を訪ねてくるが……。(「結び観音」)
人気時代小説「芽吹長屋 仕合せ帖」の第2弾。
(新潮社 737円)