「鉄道運転進化論」西上いつき著
日本初の鉄道開業から150年。かつて通勤電車などの運転に携わった元運転士による鉄道本。
1872(明治5)年の開業時、日本には鉄道の技術はなく、機関車本体をはじめ、信号や通信、料金体系とともに運転技術も輸入元の英国に頼った。ゆえに開業当時の運転士はすべて外国人で、日本人は機関助士として同乗した。技術者養成学校で学んだ日本人機関士の登用が始まったのは1879年からだったという。
そんな事始めから、現在の鉄道運転の実際、各鉄道会社が取り組む自動運転・無人運転化の現状と課題、さらに現役SL機関士や元JR運転士との対談や専門家へのインタビューなど、多角的視点から鉄道運転技術の発展を概観する。自動運転の時代に運転士は必要かを問う鉄道愛に満ちた一冊。
(交通新聞社 990円)