「イギリスの霧の中へ」 三浦清宏著
芥川賞作家で心霊研究者でもある著者のエッセー。スピリチュアリズムの研究のため1978年から1年間滞在した英国での体験がつづられる。
霊界というものが日常と隣り合わせで、日々の生活の延長線上にあることを説いたスウェーデンボルグの著作を読んで心霊研究に興味を抱き始めた氏は、大学の海外研究制度で渡英。すぐに心霊研究協会の国際大会に出席し、参加者の一人からジョー・ベンジャミンという霊能者と会うことを勧められる。
その後、著者はベンジャミンが自宅で行っている心霊相談や、週2回ホールで寄付を募って行う「デモンストレーション」で見せる透視や予知、過去を言い当てる能力を目の当たりにする。
著者の体験がそのままスピリチュアリズムの入門書としても読める。
(祥伝社 935円)