「あの日々」髙木國雄著

公開日: 更新日:

 弁護士の平松達夫は40年ほど前、駅前で不当解雇を訴えていた松野自動車販売の労働組合委員長、山木茂と知り合った。

 裁判所で研修を受けているとき、その山木が腰縄を打たれて連行されるのを目にする。山木が貼っていた会社を非難するビラをはがしにきた中島係長を足で蹴って2週間のケガをさせたという。山木は身に覚えがないと否定する。平松の先輩の福森弁護士が松野自販の吉田課長に尋問を行った。

 被害に遭って4日後に告訴の手続きをしたのはなぜか、裂傷で出血しているのに、近所の病院ではなく郊外の医院を受診したのはなぜか。吉田課長は最少の言葉でそれらを説明しているように見えた。

 ベテラン弁護士が法曹界の闇を描いた法廷小説。

(作品社 1980円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース