「鷹の系譜」堂場瞬一著
天皇崩御で昭和最後の日となった1月7日、三軒茶屋で不動産屋の営業マン、新藤和巳が3人組に鉄パイプでめった打ちにされるという殺人事件が発生した。前年にJR労組の幹部が極左の最大組織「革連協」に殺害されるという事件があったばかりだ。後に新藤は学生時代に革連協の前身である「革学同」で活動していたことが判明する。
過激派の犯行かと思われて、捜査一課と公安一課が動き出す。公安の海老沢には、情報源である弁護士の三澤から、天皇崩御の日、革連協が大規模なゲリラ事件を起こすという情報がもたらされていた。後日、三澤は大喪の礼の日、複数箇所から皇居を襲撃する計画があると告げたが、海老沢はそれはダミーだと喝破する。
時代の転換期に起こる不穏な動きを、捜査一課と公安一課が追う警察小説。
(講談社 1870円)