「呪い人形」望月諒子著
訳あって東京にいられなくなった医師の工藤は、2年前から茨城県の個人病院で働く。
ある日、入院患者の坂下が急変、工藤は救命措置を施すが助けられなかった。坂下が、知的障害がある15歳の真奈美を仲間と輪姦したことを住民たちは知っている。しかし、真奈美の母親・明代が訴えても警察は動かず、坂下の入院は逆上した明代から逃れるためだった。
5年前、工藤が研修医として勤務していた大学病院で入院中の宗教家が急死。老婆が「自分が呪い殺した」と名乗り出たが、マスコミは工藤が悪名高かった宗教家を殺したと騒ぎ立てた。
明代は、今回も工藤が坂下を殺したと信じ込んでいるようだ。恐怖を抱いた工藤は、旧知のライター・美智子に助けを求める。
病院を舞台にした長編社会派ミステリー。
(集英社 990円)