著者のコラム一覧
山上たつひこ

1947年、徳島県生まれ。70年「光る風」で注目され、72年「喜劇新思想大系」でリアルな画風のギャグを確立。74年連載開始の「がきデカ」が社会的ブームに。88年から小説執筆を開始。2014年、原作を担当した「羊の木」(いがらしみきお画)が文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞。著書に「蝉花」「火床より出でて」「大阪弁の犬」「王子失踪す」ほか。

(24)素焼きの壷と同じ肌の車

公開日: 更新日:
イラスト とり・みき

 水子の記憶は母親の記憶──。綾瀬にはエミューの思念が転移されていない。綾瀬が水子の国で画布に向かっていたとき、彼の大脳はエミューの体験を留めていたのだろうか。

 現世の人となった今、彼の脳味噌は空っぽだ。

「綾瀬さん、あなたが水子時代暮らしていた村を見に行きませんか…

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