著者のコラム一覧
山上たつひこ

1947年、徳島県生まれ。70年「光る風」で注目され、72年「喜劇新思想大系」でリアルな画風のギャグを確立。74年連載開始の「がきデカ」が社会的ブームに。88年から小説執筆を開始。2014年、原作を担当した「羊の木」(いがらしみきお画)が文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞。著書に「蝉花」「火床より出でて」「大阪弁の犬」「王子失踪す」ほか。

(54)水子は嗅覚がとても敏感なんだ

公開日: 更新日:
イラスト とり・みき

「君は酒井エミューの息子だね。冤罪で二十八年間獄中にいた」

 男の言葉に綾瀬は不意を突かれた。鉄塔の上のエミューが視界に舞い戻る。

「何でもご存知なんですね」

「別に国家機密という類の話でもないからね。収容所のニュースはあっという間に広がる」

「あなたはど…

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【連載】金鳳花のフール

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