(75)山肌を埋める水子地蔵の列
いつの間にか見知らぬ水子が立っていた。影のように現れたのだ。若い、いかにも機敏そうな水子だ。タキグチのものほど上等ではないがやはり英国風のコートを着ていた。頭の上にはもちろん中折れ帽子。
若い水子がタキグチのそばに寄る。タキグチは彼に指示を出している様子だ。
「綾…
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