「ネット右翼になった父」鈴木大介著
「ネット右翼になった父」鈴木大介著
著者の父親は、令和元年に77歳で死去。末期がんを宣告されてから3年、著者はそれまで疎遠になりがちだった父の通院に付き添う。すると、父の口からこれまで聞いたことがない嫌韓嫌中の露骨な批判が吐き出される。父の書斎には右傾雑誌があふれ、パソコンには右傾コンテンツ動画がブックマークされていた。
そんな父親に「相容れない価値観」を感じ、心を閉ざした著者だが、その死後、なぜ父親がネット右翼と化してしまったのか疑問を抱く。貪欲な向学心を持つ父親は定年後に中国に語学留学をしたり、ハングルを学んでいたのに。
「好きにはなれなかったが大事な人」だった父親が、ネット右翼化した原因を探りながら、生前に溝を埋めることができなかった父子の関係をとりもどす家族論。
(講談社 990円)