「平治の乱の謎を解く」桃崎有一郎著

公開日: 更新日:

「平治の乱の謎を解く」桃崎有一郎著

 平安時代末期の平治元(1159)年に起きた「平治の乱」の真相に迫る歴史テキスト。

 学校では平治の乱を、後白河上皇の院政を主導していた執権・信西に対して廷臣の藤原信頼と武士の源義朝が不満を抱き反乱を起こしたが、官軍の平清盛に撃破され、清盛が武士の最終勝者となったと習う。

 しかし、著者は平治の乱から31年後、上洛した源頼朝と会談した摂政の九条兼実が日記に書き残した一節に注目。乱の当事者でもあった頼朝は「父の義朝は忠義の心で、天皇の命令通り挙兵したが、天皇の裏切りで反逆扱いされ、殺された」と兼実に語ったという。

 著者は、史料を駆使して、平治の乱が皇位の行方をめぐる二条天皇によるクーデターで、乱後に朝廷が共犯となって天皇の犯罪を隠ぺいしたことを解き明かす。

(文藝春秋 1265円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」