「色彩別 爬虫類両生類図鑑」川添宣広著・写真
「色彩別 爬虫類両生類図鑑」川添宣広著・写真
ときに人間の想像を超えるほど鮮やかで多様性に満ちた生き物たちの色や柄は、そのすべてに意味があるという。
特に野生の爬虫類・両生類は、生き抜くため、子孫を残すために、その装いに全身全霊を注ぐ。餌となる生き物を捕るために、周囲の風景に紛れるような姿で忍び寄り、それは同時に捕食に集中した自身を天敵から身を守るためにも役立つ。
森で暮らす種類は、植物にそっくりなものが多い。多くのカメレオンは葉の形をしており、小型は茶色、中型以上は緑色が主流だという。
一方、爬虫類や両生類には、飼育下で作出された、野生下では見られない色彩や模様をした派手な品種も存在する。
本書は、そうした品種化されたものも含め、爬虫類・両生類を色別に紹介する図鑑。
まずは「青」。全身がターコイズブルーの「アオマルメヤモリ」(タンザニア)をはじめ、背中側は瑠璃色などが発色し、腹側は橙色の「アルプスイモリ」(フランスから東欧)など、これまで見たこともない生き物たちの美しい体色に驚かされる。
青色の爬虫類・両生類は、野生下ではそう多くは存在しないそうだが、青色は警告色としての役割も果たし、群青色の「イチゴヤドクガエル」(中米)をはじめ、猛毒で知られるヤドクガエルには、さまざまな青色をした仲間がいる。
以降、全身が濃い紫色をした「アカメアマガエル」(中米)の変異個体などの「紫」をはじめ、桃色・赤色・橙色・黄色・緑色、白色など11色。さらに、それらに収まらない「サンビームヘビ」(アジア各国)など虹色の生き物たちも網羅。
愛好家ならずとも、その美しさにしばし見とれてしまうはず。
(カンゼン 2970円)