(7)人目を忍んで子を堕しに
美登里の存在など忘れたかのように絵筆を動かしだした父を置いて、家の裏側へと回る。いつから干しっぱなしになっているのか、褌と色の褪めた木綿の着物が、物干し竿にはためいている。
昨夜は小雨が降ったはずだが、父はその程度のことを気にかけない。洗濯物は雨に濡れても、そのままにし…
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