(13)黒方の奥深い香りが客間を埋める
おみつは炭を沈めた灰の近くに、黒方の練り香をそっと埋めると、泰助と一緒に客間へ引き返した。
「お待たせいたしました」
目を閉じている梅里の前に、香炉を静かに置く。煙を出さずに匂い立つ黒方の香りが、ゆっくりと客間を埋めていった。
黒方は身にしみるような懐かし…
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