「中野のお父さんと五つの謎」北村薫著

公開日: 更新日:

「中野のお父さんと五つの謎」北村薫著

 雑誌「小説文宝」の編集者、田川美希は、夏目漱石が「アイ・ラブ・ユー」を「月が奇麗ですね」と訳したというエピソードに、同僚の手塚が疑問を感じていることを知った。漱石は「漱石全集」の論評の中で、「此 I LOVE YOU ハ日本ニナキ formula ナリ」と書いている。

 中野の実家に帰ったとき、美希がこの話をすると、父は「ある本の存在に気づけば、《漱石》と《愛の思い》から《月》に繋がらなくはない──ということだ」と言う。それは漱石の教え子の中勘助の「銀の匙」だった。(「漱石と月」)

 ほかに「清張と手おくれ」「芥川と最初の本」など、「中野のお父さん」が5つの文学作品の謎を解明する。 (文藝春秋 1870円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇