「イエスタデイ・ワンス・モア」リチャード・カーペンターほか編著 森田義信訳
「イエスタデイ・ワンス・モア」リチャード・カーペンターほか編著 森田義信訳
1970年、2枚目のシングル「遥かなる影」の大ヒットで、瞬く間に世界的スターにのぼりつめたリチャードとカレン兄妹によるポップデュオ「カーペンターズ」。
本書は、リチャードの全面監修のもと、2人の足跡をすべて網羅した公式ヒストリーブックだ。
コネティカット州ニューヘブンで過ごした幼少期、父親のレコードコレクションに興味津々のリチャードに両親は子ども向けの蓄音機をプレゼントしてくれた。彼がまだ3歳のときだった。
ピアノのレッスンを受けていた先生からエール音楽院への進学を勧められ、15歳でオーディションに合格、音楽院に通うようになったという。
その後、一家でカリフォルニアに転居早々、公園で行われていたタレント発掘ショーのようなイベントに誘われ、まだ13歳のカレンと出場。
その演奏を聞いた聖歌隊の指揮者に誘われ教会のオルガンを弾いたり、週末にはライブでピアノを演奏したりするようになったという。
そんな音楽事始めから、アマチュア時代のエピソードや、デモテープが何人もの手を経て大手レコード会社のプロデューサーに渡り、契約にいたったというメジャーデビューまでの経緯が、リチャードへの100時間以上に及ぶインタビューによって詳細に語られる。
以降、1969年のファーストアルバム「オファリング」にはじまる全アルバムと全シングルの詳細な解説を豊富なエピソードを交えながら紹介。
さらに40年前のカレンの死や、その後の活動まで、リチャード秘蔵の未公開写真や、楽曲の大半に関わったジョン・ベティスら関係者の証言など交えながら、その活動の軌跡をすべてたどることができるファン待望の一冊だ。
(晶文社 5940円)