「ヘンな矢印標識」山﨑賀功著
「ヘンな矢印標識」山﨑賀功著
運転する人はもちろん、そうでない人にもお馴染みの道路標識。それぞれに役割があり、多くの種類がある標識の中でも、青地に白線と矢印が描かれた丸い標識「指定方向外進行禁止」には、道の形状に合わせた特注タイプが存在する。
著者は、中でも「一風変わった矢印標識」を「異形矢印」と呼んで、全国の交差点を訪ね、撮り集めてきたという。
約4000点にも及ぶコレクションから厳選した面白標識を紹介しながら、その魅力を教えてくれるビジュアルブック。
まずは北海道・東北エリアで見つけた「お宝」。
札幌市の「刺さったら痛い!?」と名付けた標識は、トゲトゲとした3本の矢印がくねりながら進行方向にのびている。まるで物語に登場する「三叉槍」のようにも見え、標識の下についた時間指定の数字のフォントも独特で味があるという。
小樽市の五差路の交差点で見つけた「小躍りの矢印」は、軽くカーブを描いた太めの矢印に、斜め上と斜め下を向いた小さめの矢印が添えられ、人がダンスでもしているかのように見える。
また、異形矢印マニアの聖地である「八潮八条交差点」(埼玉県)に設置された全国で3カ所しか見つかっていない「7方向に分岐する矢印」であり、さらにその中でも唯一「5方向に進行できる矢印」には思わず目を疑う。ほかにも、アルファベットの「f」のような矢印(滋賀県長浜市)、進入禁止道路を越えてしか標識を設置することができず赤丸で現在地を示した「大人の事情」と題された標識(表紙=山口県萩市)、複雑さでは九州で五指に入るクモの巣のような標識(大分市)など津々浦々、約200近くの標識を網羅。
一読後は、運転中に矢印標識が気になって仕方なくなると思われるが、安全にだけはご留意を。 (自由国民社 1595円)