(59)竹を買って色紙短冊を飾ろうか
江戸有数の書肆、鱗形屋の客間では侍が主人の孫兵衛を待っている。応対する手代の徳兵衛は、下卑た笑顔にたっぷり阿りをまぶしていう。
「チト、風呂敷の中身を拝見させていただいてよろしいかな?」
武家は眉を曇らせる。
「ご主人より先に?」
「そんなもの、先生さ…
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り1,286文字/全文1,426文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】