力道山そっくりの刑事が腕力ひとつで悪漢を倒す!

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「犯罪都市 PUNISHMENT」

 コロナ禍を機に不振と伝えられる韓国映画界だが、例外が巨漢のアクション俳優マ・ドンソク主演の「犯罪都市」シリーズ。第1作は「青少年観覧不可」に指定されながら興収で群を抜いた。

 今月末公開予定の「犯罪都市 PUNISHMENT」は最新の4作目。日本では前作が2月に公開されたばかりだ。

 話は単純。マ・ドンソク演じる刑事が腕っぷしひとつで悪漢を次々なぎ倒す。敵の凶悪度はどんどん上がるが、主人公の腕力は不動。いまどきのアクション俳優で「蹴り」なしのボクシングスタイルだけなのは世界中で彼ぐらいではないか。それでも見飽きないのは力道山そっくり(古い!)の外見と独特の愛嬌。これがマンガチックで、いわばクセになるB級ファストフードの味わいなのだ。

 面白いことにそれが配信の時代に国際化し、アメリカでも確実な興収があるという。この映画は刑事同士がべったり引っついて一緒に飯を食う場面がなぜか目立つ。そういうアジア的な田舎くささを異国の客が違和感なく受けとめる時代なのだ。

 刑事ドラマが描く派手な捜査場面とは反対に、実際の刑事警察の現場で大捕物はむろん例外。甲斐竜一朗著「刑事捜査の最前線」(講談社 990円)は大阪と東京の2大都市で捜査1課を担当した警察記者によるキャリア30年の実録集だ。

 印象に残るのは汚職や詐欺を担当する捜査2課の章。1970年代、各都道府県警が摘発した贈収賄事件は毎年100件超だった。ところが88年に99件、2007年には50件以下、16年には最少の23件。半数以上の警察本部で摘発ゼロにまで落ち込んだという。汚職捜査は内通者の信頼と意思疎通が不可欠だが、昨今の若手世代はコミュ力不足というのだ。“べったり引っつく力”は警察力の支えでもあったということだろうか。 〈生井英考〉

◆9月27日から新宿ピカデリーほか全国公開

【連載】シネマの本棚

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