「清少納言なぞとき草紙」有馬美季子著
「清少納言なぞとき草紙」有馬美季子著
宮仕えをやめ、東山月輪の屋敷に住む清少納言の元に、陰陽師の安倍吉平が知恵を貸してくれ、と訪ねてきた。生首をくわえた犬が大内裏や内裏に入り込んだが、青い目の生首の主と思われる堀川諸兄は生きているという。さらに調べを進めていくと、紫式部の<源氏物語>と事件とが呼応していることが分かった。
清少納言は生首は堀川の兄弟で、下手人からの「おまえらの悪事は知っている」との伝言だと推察。果たして吉平は、堀川に蝦夷の血が混じる年子の兄・稚児丸がおり、一緒に公家の女に悪さを働いていたことを知る。そして稚児丸は、いざとなれば弟は平民の自分に罪をなすりつけるつもりだったと気づき、かねての病が悪化して死んだのだった。では、稚児丸の首を犬にくわえさせたのは一体……。
清少納言が“勘働き”で難事件に挑む、書き下ろし平安ミステリー。
(徳間書店 880円)