「わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家日本の闇」泉房穂著
「わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家日本の闇」泉房穂著
前明石市長である著者の政治の師だった衆議院議員・石井紘基氏は、22年前、右翼団体代表を名乗る男に刺されて殺害された。
かねて国会で特殊法人などの不正を追及し、「国会の爆弾発言男」と呼ばれていた氏は、その日、「国会質問で日本がひっくり返るくらいの重大なことを暴く」ために資料を国会に提出する予定だった。しかし、遺品のカバンから資料は見つからなかったという。
旧ソ連に留学してその政治体制を研究した氏は、帰国後、民主主義を標榜する日本もソ連同様に、一部の支配層のみが利益を得て大多数の国民は苦しめられている「官僚社会主義国家」だと気づき、日本社会を国民の手に取り戻そうと奮闘。氏の足跡を紹介しながら、「不正追及」「弱者救済」に生涯をかけたその政治哲学に改めて光を当てる。 (集英社 1045円)